この男、危険人物につき取扱注意!
「事情は分かりましたけど…
だからって…なんで私なんですか?
他にも居るじゃないですか?
ほら、差桜良朱音さんとか…
あの人、綺麗だし…多分、チーフの事好きですよ?
(私のカンですけど?)」
「…うさぎは嫌いか?」
「え?」
(ほら…まただ…そんな不安そうな顔して…)
「俺の事嫌いか…」
(それは…上司として…?)
「…上司としては嫌いじゃないですけど…
だからと言って、愛もないのに結婚なんて出来ませんよ?
私、ちゃんと恋愛して結婚したいんです」
「じゃ、俺と恋愛してみないか?」
「は?」
「おまえだって今日迄に結婚しなかったら、会社辞める約束、兄さん達としてたらしいな?」
「な、なんでそれを?」
「うさぎの兄さんに聞いた。
ヘリポートへ送るエレベーターの中で、下の兄さんから聞いたぞ?」
(そう。本当は、25歳になる迄に兄達が納得出来る相手と結婚出来なければ、会社を辞める約束になってた…
そんなの無理だって、分かってたけど…)
「ええ。
本当は…25歳までに兄達が納得する相手を見つけ無いと、会社を辞めて家に入る約束だったんです…
それを、後一年…後一年と伸ばして…今日まで…」
「家に入るって花嫁修行ってやつか?」
「いえ…どちらかの兄と結婚を…」
「っ⁉︎…それは親が決めた事なのか⁉︎」
木ノ下は怒りにも似た驚きの声を上げた。
「いいえ…
両親は何も言いません…
寧ろ私の気持ちを尊重してくれてます」
(チーフ…もしかして、私が養子だって事…知ってた?
お兄ちゃんと結婚って言っても驚かないって事は…知ってたよね?
社長だもん、人事書類だって見れるか…)
「ただ…」
「ただ、なんだ?」
「兄達は、私がどちらかの兄と結婚して家に残る事が、私達を引き取ってくれた両親への恩返しだと…」
「そんなのは彼奴らの…
ちょ、ちょっと待て、もしかして…兄貴達からは、もうプロポーズされてたり…」
木ノ下の言葉に、千夏は小さく頷いた。