極上弁護士の耽溺プロポーズ
退院の手続きを終えて、ちらっと壁の時計を見ると、柊一くんが出て行ってからもう一時間近く経っていることに気がついた。

わたしはきれいに片付いたベッドの上に座って、先刻の柊一くんの顔を思い返す。

なんだか、柊一くんの様子がおかしい気がする。

いきなりあんなふうに高圧的な口調で仕事を休めと言われても、納得いくはずがない。

わたしのことを案じてくれているだけならあんな言い方をしなくてもいいはずだし、やっぱりなんと言っても退院を勧めたのは柊一くんなのだ。

それに迫力に負けてスマートフォンを渡してしまったけれど、休暇届を出すにしてもそれくらい自分ですべきだった。

一体わたしはいくつの子どもなんだよ、柊一くんの中ではまだ迷子の小学生のままなのかな、なんて情けなくなって項垂れていると、柊一くんが戻ってきた。

険しい顔つきのままの柊一くんに、反射的に身構えてしまう。

けれど柊一くんはわたしの荷物が入った鞄を乱暴に引ったくると、わたしを先導するようにすたすたと歩き出した。

「柊一くん、どこに行くのっ……?」

慌てて追いかけると柊一くんは振り返って、わたしに鋭い視線を投げかけてくる。

「光希は今日から俺と一緒に暮らすんだ」

ついさっきよりもさらに凄みのある言い方に、わたしは呆気に取られてしまった。
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