極上弁護士の耽溺プロポーズ
柊一くんは切なそうに眉を寄せ、堪えられないような目を向ける。

その表情に、柊一くんがどれだけ自分を求めてくれていたのか、一瞬で身につまされた気がした。

「俺は初めから、光希以外いらないっ……」

ありったけの力で抱き締められ、息をするのも苦しくなる。

それでもその腕の中で、心が満たされていく。

激情に駆られた柊一くんに、わたしの体は火を点けられたように熱くなった。

「光希が好きだ……」

柔らかいカシミヤの毛布の感触と、柊一くんの甘い匂い。

それらを意識する間もなく、すぐに柊一くんの唇が降ってきて、わたしは目を閉じる。

今まで踏みとどめていた情熱をぶつけるように唇を貪られ、息をすることさえ忘れそのキスに引き込まれていく。

絡み合う舌の感触に酔いしれた。

柊一くんが好き。柊一くんが好きだって、心の中で何度も叫んでいた。

この気持ちは、幼なじみの友情なんかじゃない。

愛しくて、涙がキラキラと頬をつたった。

「……やっと、光希を――」

意識が飛びそうなほど愛され、その間際に何か柊一くんの声が聞こえた気がしたけれど、遥か彼方でまどろみに消え去った。


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