極上弁護士の耽溺プロポーズ
なんと言っても、ここ一年間の記憶なんてなくてもたいして困るとは思わなかった。

覚えているのは、仕事に追われるだけの単調な日々、ただそれだけだからだ。

そんな地味な生活が、まさかこの一年で劇的に変化しているなんてことはないだろう。

だから大丈夫、とわたしは前向きなのか後ろ向きなのか判別がつかないことを考えていた。

けれど柊一くんはわたしと一緒にこの話を聞いたとき、今までに見たことがないくらい狼狽していた。

本人のわたしよりずっと深刻な表情をしていたから、わたしはかなり戸惑った。
< 9 / 119 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop