極上弁護士の耽溺プロポーズ
わたしは通院を余儀なくされたけれど、入院を継続してまで治療する病状もなく、翌日には退院することになった。

家族と離れて暮らしているし、何かと不便もあるだろうから、もう数日入院していてもよかったけれど、柊一くんが早急に退院を勧めたのだ。

わたしが記憶を失っていることにひどく驚いていたから、しばらく入院しておいたほうがいいと言うと思ったのに、なぜかその逆の展開になった。

それにはちょっと驚いた。

そしてその日も、柊一くんは仕事の合間を縫って来てくれた。

「今日はもう来てくれなくてよかったのに」

気にかけてくれるのはうれしいけれど、さすがに申し訳なかった。

結局病院にいる間、柊一くんは毎日顔を出してくれたのだ。

わたしが鞄に荷物を詰めている横で、柊一くんは黙ってこちらを見ていた。

「……光希、しばらく仕事は休んだほうがいい」

柊一くんは唐突にそう言いながら、荷造りを手伝うように手を伸ばしてきた。

「えっ、どうして? わたし、別になんともないよ」
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