白雪姫に極甘な毒リンゴを 2 (十環の初恋編)

「ちょ……ちょっと待って。

 俺、行かないよ」


「別にさ
 どんな高校か見に行くだけじゃん。

 入学してって
 言ってるわけじゃないからさ。

 ちゃんと学園長の許可は取ってあるし。

 こうして
 二人分の制服まで貸してくれたんだぜ」


「俺……

 高校なんて……」


「十環!!

 昨日のこと
 忘れたわけじゃないよな?

 俺の宝物
 溝のちっこい穴に落としたくせに」


 そこを突っ込まれると……

 断れないし……


「わ……わかったよ。

 でも、俺
 学園長には絶対に会わないから」


「いいよ、それでも。
 じゃ、早く着替えていこうぜ!

 ひゃ~!!

 俺、この制服着るの
 憧れてたんだよ!!

 ブレザーの下に着るベスト、俺は赤な。
 十環はピンク。

 十環には
 この色が一番似合うと思って
 俺が選んだんだけど、いいよな?」


「別に……

 何色でもいいけど……」


 本当は高校なんて
 一歩も中に入りたくないけどしょうがない。


 六花ちゃんにもらった一颯の宝物を
 俺が落としちゃったし。


 俺は嫌々
 明虹学園の制服に着替えた。


 だけど……


 目の前の一颯と
 お揃いの制服を着ているということに
 少しだけ心が跳ねた自分がいた。

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