白雪姫に極甘な毒リンゴを 2 (十環の初恋編)

「俺が学園長に会いに行ってる間に
 何かあったよな?」


「なんにもなかったって。

 ちょっと屋上に行ってみたいなって
 階段上っただけ」


「へぇ? 

 それにしては、態度変わりすぎじゃね?

 校舎の中を歩き回ってた時だってさ
 何かを探しているみたいに
 キョロキョロしててさ。

 ソワソワだったじゃん。」


「ただ教室とかどんな感じか
 確認していただけだし」


「それにさ
 『ここから、2年の教室だ』って
 目を輝かせて
 他の教室よりも
 ゆっくり歩きながら見てたじゃん。
 
 この学園に全く興味のない十環さんが
 なんで2年の教室に
 興味なんて持っているのかな?」


 一颯って……


 す……するどい!!



 一颯と会ったのなんて
 たった3回目なのに
 普段の俺と違うって見抜くなんて。


「十環、お前さ……

 気になる子でもできた?」


「は? は? は?

 そ……

 そんなわけないし……」


「わかりやすいんだよ。 十環は。

 で、さっき何があったわけ?

 お前がドキッとするいい女と
 すれ違ったとか?

 窓の外にいる子に
 一目ぼれしちゃったとか?」


「だから、違うってば」


「もしかして……

 一目ぼれの相手は
 先生だったりして」


 『イヒヒ』と右の口角だけ上げて
 漆黒の瞳で俺を見つめる一颯。


 まるで悪魔に乗り移られたように
 不気味な笑みを浮かべている。


 は~ 

 もう!


 一颯に隠し通すなんてムリだし。


 俺はため息をつくと
 重い口を開いた。
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