白雪姫に極甘な毒リンゴを 2 (十環の初恋編)


「一颯の言う通りだよ」


「は?

 先生?

 先生に、一目ぼれしちゃった?」


「先生じゃないし。

 ……高2って言ってた」


「じゃあ
 俺らより2こ上ってことだよな?

 話したってことは
 十環から声をかけたわけ?」


「声をかけたって言うか……

 その人が階段で寝ていて
 倒れそうだったから……

 体を支えた……

 だけで……」


「何? 

 王子様級の出会い方してるじゃん!!

 お前に助けられた女の子なら
 たいていは落ちるんじゃね?」


「そんなわけないじゃん。

 俺、中学でも
 女子に嫌われているし」


「それは
 十環が『近づくな』って
 ブラックオーラを発して
 睨みつけているからだろ?

 で、その先輩と
 電話番号くらいは交換したのかよ?」


「そんなこと……

 できるわけないじゃん!

 一颯ならできるわけ?」


「俺は……

 電話番号を聞きたいって思った女なんて
 現れたことないしな。

 六花には
 スマホ持つの禁止にしてあるし」


「一颯ってさ
 本当に六花ちゃんのことが好きなんだね」



「そうに決まってんじゃん。

 十環も六花を見たからわかるだろ?

 かわいいんだよ。本当に。

 他の男に取られるくらいなら
 家の中に閉じ込めたいくらい」


「そこまで行くと……

 ストーカーレベルだと思うけど……」


「さすがに俺も、異常だって思うよ。
 六花への思いはさ。

 可愛すぎて
 抱きしめたいって思っちゃうこともあるし。

 って、俺のコイバナなんて
 今はどうでもいいじゃん。
 
 寝ていて、倒れかけた先輩を
 助けてあげたんだろ?

 それだけ?」


「それだけじゃないけど……

 あとはお礼に
 キャラメルをもらったくらい」


 言えない。


 恥ずかしすぎて、言えない。



『私を鳥かごから連れ出してくれる
 王子様だったらいいなって』って
 言われたなんて。


 それに俺も
 恥ずかしいことを言っちゃったし。

 
『俺が髪の色を変えて
 この学園に入学しても
 見つけてくれますか?』って。


 あ~

 話を変えよう!


 このままだと
 ニヤケ悪魔の一颯さんに
 根掘り葉掘り聞かれてしまう。

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