白雪姫に極甘な毒リンゴを 2 (十環の初恋編)

「悪かったな。 

 いきなりあんなこと言って」


「え?」


「ちょっと前に
 一颯って奴が俺に会いに来たんだ。

 お前のことで、相談があるって」



 一颯が……

 総長に会いに来た?


「なんで……一颯が……

 だって俺
 TODOMEKIの倉庫の場所も
 総長の名前すら教えてないのに」


「前にさ
 倉庫の前でみんなと撮った写真あっただろ?

 その写真を十環に見せてもらったって。

 でさ、その写真に
 一颯がよくいく手芸屋が
 映り込んでたんだってさ。

 あいつすっげー根性あるな。

 最初は白夜会の
 回しもんかと思ったからさ
『帰れ!』って
 本気モードで怒鳴ったわけ。

 でもさ、全然帰んねえの。

 ま、足は震えてたけどな」


「それで一颯は……

 なんて言っていたんですか?」


「お前とさ
 明虹学園に行きたいって」


「一颯は……

 明虹学園に入学したいからで……

 俺が入学しないと
 一颯も入学できないから……」



「それは違うな。

 俺に言ってたし。

 十環がいなくても
 明虹学園に入れることになったって」


「え?」


「お前と一緒に
 高校生活送りたいんだってよ。

 一颯は」


「でも……

 明虹は白夜会の……」


「だからさ、十環。

 お前はTODOMEKIやめて
 高校に行け」



「この前もですけど
 なんでそんなこと言うんですか?

 総長は俺に
 TODOMEKIをやめて欲しいって
 思ってるんですか?」


「やめて欲しくないに
 決まってんだろ!!」


 総長の怒鳴り声が
 神社にこだましている。
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