白雪姫に極甘な毒リンゴを 2 (十環の初恋編)


「俺さ、
 十環にはすっげー感謝してるからさ」


 え?


 総長が俺に? 

 感謝?


「今年の春だったから
 もう10か月くらい前か。

 お前に、ケンカの助っ人頼んだろ?」


「統合した中学同士の
 争いのことですよね?」


「ああ。

 敵は50人くらいいるっつうのにさ。

 あいつら
 二人だけで戦うっていうから。

 俺、心配でさ。

 かといって
 総長の俺が中学生のケンカに混ざったら
 ほかの族が黙っていないだろうし。

 だから、TODOMEKIのメンバーだって
 知られていない十環が
 あいつらの助太刀をしてくれて
 すっげー助かった」


「あの二人って
 総長とどんな関係なんですか?」


「あ、あいつら?

 俺の……弟たち」


「え?
 ………えぇぇぇぇ???」


「は? 

 十環、そんなに驚くことかよ?」


「だって、総長の弟さんって……

 亡くなったんじゃ……」


「なんだよそれ。

 俺、そんなこと一言も言ってねえけど」



 だって総長。


 この前、弟さんの話をしたときに
 『何もしてあげられなかった』って
 悲しそうにつぶやいたから。

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