白雪姫に極甘な毒リンゴを 2 (十環の初恋編)
俺の瞳に
ずっと会いたかった
ブルーハワイ色の髪が。
俺に会いに来てくれたのが
嬉しいはずなのに
素直になれず
つい上から目線でしゃべってしまう。
「何しに来たんだよ。 十環」
「何しにって……」
「行くぞ、俺の部屋」
相変わらず
俺と目を合わせない十環。
2階の俺の部屋に入ると
俺はベッドに腰を掛け
十環は床にぺたりと座り込んだ。
「で、十環は何しに来たわけ?」
「……聞いてなかったから。
礼音さんの美容院の……連絡先」
「ああ。そうだったな。
今、メモるから。ちょっと……」
「なんで……
一颯は……
総長に会いに行ったわけ?」
「へ?」
思ってもいなかった質問に
俺の声が上ずった。
「……聞いたんだな」
コクリとうなずく十環。
「そんなの決まってんじゃん。
お前と一緒に
行きたいって思っちゃったからさ。
明虹学園にさ」
「俺、あの時
一颯に言ったよね。
俺は一颯よりも
TODOMEKIを選ぶって」
「ああ。言われた。
十環と同じ高校に行くことも
あきらめようと思った。
でも……
明虹の制服着て
十環と学校探検したのが楽しくてさ
やっぱり諦めるのはムリって思った。
だけどさ……」
「なに?」
「もう完全に諦めたから安心して。
お前と一緒に
高校に行くこと」
これは俺の本心。
本気で思っている。
十環にとって俺なんて
もう、会う価値もない相手だろう。
それなのに
『一緒の高校に行くことを諦めた』と
口に出した瞬間
切なさに似た痛みで
心がズキズキと痛みだした。
十環は唇をかみしめながら
ぼそりと言った。