白雪姫に極甘な毒リンゴを 2 (十環の初恋編)

☆十環side☆

 どうせ父さんも母さんも
 俺のことなんて心配なんてしていない。


 俺なんていなければいい。


 はやく出て行って欲しい。


 きっとそう思っている。


 そう思うのに……



 俺を心配そうに見つめる
 父さんの瞳と
 初めて泣き崩れた母さんの背中が
 俺の脳裏に焼き付いて離れない。


 俺が口を閉ざしてうつむいていると
 一颯が穏やかな笑顔を俺に向けた。



「十環さ……

 お前、すっげーな」


「え?」


「だってさ、小1から小6まで
 自分の気持ちを隠してたんだろ。

 俺はさ
 すぐにキレちゃうタイプだからさ。

 怒りを抑えこむとかできないし」


「すごくなんか…… ないよ……」


「すごいと思うけどな。 

 俺にはできないし。

 でも俺は
 十環の両親が嫌な人って思えないんだよな。

 だってさ
 お前が無視しても笑ってくれているなんて
 普通できないじゃん」


「え?」


「十環はできるわけ?

 自分のことを明らかに嫌っている奴に
 笑いかけ続けるのって」


「……ムリ」


「だろ?

 俺はさ
 十環の両親に会ったことがないからさ
 勝手な想像だけどさ。

 十環のことを
 すっげー大事だって思ってくれてる気がする」


「……そうかな」


「そうだよ。

 だからさ、ちょっとでいいからさ
 心を開いてやれば」


「でも、でも。

 それで……」


「十環は、拒否られたらとか
 悪いほうに考えちゃうんだろ?

 それで
 やっぱり嫌な両親ってわかった時には
 俺の家に逃げてこい。
 
 この家なら明虹学園も近いし
 部屋も一つ空いてるからさ。

 あ、そのかわり。
 六花に笑いかけるなよ。

 六花がお前のことを好きになったら
 絶交だからな」


「アハハハ」


 暗い話をしていたのに
 一颯の六花ちゃん愛がさく裂した瞬間
 俺は思わず笑っていた。

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