しあわせ食堂の異世界ご飯6
 エストレーラの王女、つまりアリアがよほどできた人間でなければ不満に思い、祝福する人間は多くないかもしれない。
 そのことが、エマとカミルは心配だった。
「アリアちゃんはいい子だっていうのにね」
「そんなの、俺だってわかってるさ。でも、エストレーラがこの国のためになることをなにかしたか?って考えると、厳しいんじゃないか?」
 さすがに一国の王女にそれを望むのは、酷だ。
 今すぐなにか行うというのは無理かもしれないが、これからゆっくり国民の信頼を得ていい皇妃になっていけばいいとカミルは思っている。
「…………」
「なんだい、しんみりしちゃって。ま、カミルはアリアちゃんのことが好きだったからねぇ」
「なっ!」
 ズバリ心を読まれ、カミルは言葉に詰まる。
「いいんだよ、もう。俺なんかじゃ、アリアの隣は務まらないからさ」
 料理人のアリアだったならば、もしかしたら自分が隣に立てたかもしれない。
 けれど、王女としての姿を見せられたら、とてもではないが寄り添っていける自信はなかった。
「俺にはしあわせ食堂があるからいいんだよ」
「……そうかい。だったら、早くいいお嫁さんを見つけておくれよ」
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