しあわせ食堂の異世界ご飯6
 結婚式の二次会などで、『キスコール』みたいなものがあるのはアリアも知識として知ってはいたが、まさかそれが異世界にもあり、自分がされることになるとは! と、衝撃を受ける。
(こ、こんなときどうすればいいの!?)
 あははと誤魔化すように笑えばいいのか!? 残念ながら、アリアには上手くかわす方法がわからない。
 黙っていれば収まるかもしれない、なんて思ったけれど――
「キース!」
「キース、キースっ!」
(ああああもっと盛り上がってらっしゃる!!)
 しかも集まってくれた人たちだけではなく、道行く人や、果てやしあわせ食堂のある裏通りに繋がる通りを歩く人にも聞こえてしまったようで……どんどん人が集まってきてしまった。
「お、あれって皇帝陛下じゃないか!?」
「知ってるぞ、しあわせ食堂の料理人が王女だったんだろ?」
 他人であれば素通りしてくれるかも、なんていう淡い期待は抱いてはいけない。この街に住む人で、アリアとリントを知らない人なんていないのだから。
 どんどんキスコールが大きくなってきて、アリアはどうしたらいいかわからず縋るような瞳でリントを見る。
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