しあわせ食堂の異世界ご飯6
 だからこそ、なにか深刻な悩みがあると思っていたのだが――どうも、自分に言えるような内容ではなかったみたいだと、エマは苦笑する。
「まあいいよ、私はアリアちゃんが大好きだからね。なにをするにしても、どんと構えて見守っててやるさ」
「エマさん……」
『わうわう』
 嘘をついたことを見抜かれたとわかってしまったシャルルは、エマの懐の深さに感謝する。
 アリアとリベルトが結婚するそのときまで、本当の理由を説明するのは待っていてくださいとシャルルは心の中でつけたした。

 ***

 目の前で繰り広げられている光景に、ルシオは目を見開いた。まさかこんな素晴らしい催しが開催されているなんて、夢にも思っていなかった。
 彼がたまたま歩いていたのは、しあわせ食堂がある裏路地に続く通りだった。するとなにやら、賑やかな声が聞こえてくるではないか。
 しかもそれだけではなく、甘い香りもただよってくる。ルシオの足がふらふら~っと、しあわせ食堂へ向かってしまったのも致し方ない。

 最近すっかりしあわせ食堂の虜になってしまった、ルシオ。
 金色がかった色素の薄い水色の髪は長く、後ろでひとつにまとめている。
< 62 / 160 >

この作品をシェア

pagetop