しあわせ食堂の異世界ご飯6
「しあわせ食堂の料理人で、庶民だとばかり思っていたんですよ。それなのにまさか、貴族どころか他国の王族だったとは……普通は想像なんてできません」
 セレスティーナと一緒にいたアリアを見てすぐ、いったい誰だと部下に確認をしたらしい。
 けれどライナスがそう言うように、アリアだって同じことを思っている。
「ライナス様こそ、市場へ行かれたり、しあわせ食堂へきてくださったり……公爵様だなんて、どうして思えましょうか?」
 アリアやシャルルは、ずっとライナスのことを裕福な商人だとばかり思っていた。それがまさか、下級貴族どころかこの国のナンバー2だ。
 もしもアリアが王城へ滞在することを選んでいたら、きっと話をする機会は何度かあっただろうなと思う。
 ライナスがおもむろに膝をついて、頭を下げた。
「まさかエストレーラの王女殿下だとは、存じませんでした。今までのご無礼、どうぞお許しください、アリア様」
「わたくしも、王女らしからぬところはありましたから……」
 互いの立場を知らなかったとはいえ、アリアは一国の王女。身分だけを考えても、ライナスよりアリアのほうが上だ。
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