しあわせ食堂の異世界ご飯6
「おはようございます、お父さま」
 ライナスの向かいに座り、リズも同じように食事を始める。まずは温かいスープを飲んで、冷えた体をどうにかしたい。
「はふ……」
「最近は毎日冷えるからね。体調を崩したりはしていないか? リズ」
 心配そうにそわそわしているライナスに、リズベットは笑顔を見せる。確かに寒くて震えてしまうことはあるが、風邪を引くほどではない。
「大丈夫です」
「それはよかった。リズは今日もお昼から王城でマナー教育の予定が入っているだろう? わざわざ城まで行かなくとも、家で教師を雇って続けてもいいんだぞ?」
 嫁ぐための勉強なんてしないでくれと言いそうなライナスを見て、そもそも最終的に婚約を決めたのは自分だろうと苦笑する。
「お城に行きます。リベルト陛下にもお会いできますし……」
「そ、そうか……。陛下とは仲良くできているか?」
「はい」
 ライナスの言葉に、リズは笑顔で頷く。
 登城した際は最初と最後に挨拶を行うし、リズベットが根を詰めすぎていると休憩に誘ってくれることもある。
「リベルト陛下はとてもお優しいです。先日は、美味しいお菓子を贈ってくださったんですよ」
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