婚約破棄された悪役令嬢は、気ままな人生を謳歌する
オホホ、とのけぞりながら高らかに笑い声を上げてみせる。するとビクターはしゃがみ込み、脱ぎ捨てていた上着から何かを取り出した。書状のようなそれを、アンジェリ―ナの目前に突きつける。
アンジェリ―ナは目を凝らし、羅列されている文字を読み上げる。お世辞にも上手とは言えないミミズが這うような筆致には、見覚えがあった。
「スチュ、アート……? スチュアート王子の署名……?」
「はい。昨日城に行き、殿下から罪人としてこの塔に幽閉される許可を得ました」
「な、どうやって!?」
「簡単なことです。あなたと殿下がご婚約されている際に、あなたと不貞を働いたと嘘を申したのです。実際に俺は長年それを望んでいましたし、罪を犯したも同然です」
「ふ、ふてい……?」
アンジェリ―ナは、みるみる顔を赤らめた。
処罰が下される際、自分も同じようなことをスチュアートに言ったはずだが、こうして他人の口から聞くと恥じらいが込み上げる。前世から、アンジェリ―ナは男女のむつみごとには全くといっていいほど縁がなく、免疫がないのだ。
(とことんまで、重症だわ)
愕然としていると、不意打ちで手を取られた。
アンジェリ―ナは目を凝らし、羅列されている文字を読み上げる。お世辞にも上手とは言えないミミズが這うような筆致には、見覚えがあった。
「スチュ、アート……? スチュアート王子の署名……?」
「はい。昨日城に行き、殿下から罪人としてこの塔に幽閉される許可を得ました」
「な、どうやって!?」
「簡単なことです。あなたと殿下がご婚約されている際に、あなたと不貞を働いたと嘘を申したのです。実際に俺は長年それを望んでいましたし、罪を犯したも同然です」
「ふ、ふてい……?」
アンジェリ―ナは、みるみる顔を赤らめた。
処罰が下される際、自分も同じようなことをスチュアートに言ったはずだが、こうして他人の口から聞くと恥じらいが込み上げる。前世から、アンジェリ―ナは男女のむつみごとには全くといっていいほど縁がなく、免疫がないのだ。
(とことんまで、重症だわ)
愕然としていると、不意打ちで手を取られた。