婚約破棄された悪役令嬢は、気ままな人生を謳歌する
アンジェリ―ナの両手ほどの大きさのそれは、茶褐色で、表皮をびっしりとトゲに覆われている。仄かな異臭が、アンジェリ―ナの鼻をついた。
「ドリアン!?」
(メロンもスイカもいちごもないのに、ドリアンは存在してるだなんて! ていうかビクター様、なぜこれを選んだの!?)
この世界の摂理が、よく分からない。
とにかく、ドリアンでフルーツカービング♪なんて、聞いたこともない。
アンジェリ―ナは大急ぎでドリアンを袋に戻すと、さらに布でぐるぐる巻きにして、タンスの奥に放り込んだ。そして、気持ちを改めナイフを握ると、色の反転したスイカことカースイと向き合った。
息を吸い込み、前世の記憶通りにナイフを運ぶ。
まずは、中心にナイフを入れ、ゆっくりと円型に切り取った。それからその円を軸に、小さな切り込みをV字に入れていく。カースイの赤い皮が削られ、鮮やかな緑が見えてきた。
円を中心とした一周目をギザギザに彫り込んだら、次は二週目だ。刻んだギザギザに沿うようにナイフを入れ、さらにV字を細かく刻む。
「ドリアン!?」
(メロンもスイカもいちごもないのに、ドリアンは存在してるだなんて! ていうかビクター様、なぜこれを選んだの!?)
この世界の摂理が、よく分からない。
とにかく、ドリアンでフルーツカービング♪なんて、聞いたこともない。
アンジェリ―ナは大急ぎでドリアンを袋に戻すと、さらに布でぐるぐる巻きにして、タンスの奥に放り込んだ。そして、気持ちを改めナイフを握ると、色の反転したスイカことカースイと向き合った。
息を吸い込み、前世の記憶通りにナイフを運ぶ。
まずは、中心にナイフを入れ、ゆっくりと円型に切り取った。それからその円を軸に、小さな切り込みをV字に入れていく。カースイの赤い皮が削られ、鮮やかな緑が見えてきた。
円を中心とした一周目をギザギザに彫り込んだら、次は二週目だ。刻んだギザギザに沿うようにナイフを入れ、さらにV字を細かく刻む。