婚約破棄された悪役令嬢は、気ままな人生を謳歌する
『彼女との婚約は解消した。あのような下品な女の話はしないでいただきたい』

(婚約を解消した? それに下品だと……?)

 ラスカル大臣は、猛烈な違和感に襲われた。下品という表現は、今スチュアートの隣にいる女にこそふさわしい言葉だ。決して、名だたる公爵家令嬢に向けられるような言葉ではない。 
 剛腕と名高い騎士団長のビクターも、スチュアートの命によって退任したと耳にしたばかりだ。彼の牽制もあって、ハイランド王国はアッサラーン王国への進撃を躊躇していたというのに、それをあっさり解雇など考えられない。

 この国は、大丈夫なのだろうか。

 一抹の不安が、ラスカル大臣の胸に押し寄せていた。


 一週間前のことを思い出しながら、ラスカル大臣は、目の前で繰り広げられる貴族たちの戯れに目を向ける。
 
 豪華な料理に、着飾った貴族たち。道化師のおどけた玉乗りに、あちらこちらから品のない笑いが湧き起こっていた。アッサラーン王国に来てからというもの、このようなパーティーの連続である。
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