ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来


そして早朝7時すぎの、彼が勤めている病院の外来診察フロアに
私、彼、そしてベビーカーに大人しく座っている祐希の3人が足を踏み入れた。

外来診察フロアは蛍光灯が点いておらず薄暗かったけれど、待合室のベンチにはおそらく診察の順番取りらしき患者さん達がちらほらと退屈そうに腰掛けていた。

それに対して私達が向かっていた救急外来の待合室は
あと2時間で外来診察が始まることもあってか誰もいない。


「コレ、問診表です。怪我しているの左手みたいだから、記入できますよね?」

『あっ、ハイ、大丈夫です。』


私は経験豊富そうな看護師さんに差し出されたバインダーを右手で受け取り、太ももの上のそれを載せて書き始めた。

「じゃ、お願いします。あらっ、日詠先生。今日、当直じゃなかったですよね?」

「・・・ええ、まあ。」

ハキハキとした口調でナオフミさんにそう声をかけてきたその看護師さんにバツの悪そうな表情でそう返事をした彼。


「私服で救急科をウロウロされると、ナース達がソワソワしたりして落ち着きなくなるので、お早めに退散して頂けると助かります。」


私、自分のコトで精一杯でそんな事思い付かなかったけれど
そうだよね
私服姿で日詠先生がウロウロしていたらソワソワしちゃうよね、看護師さんたち

さすが、ベテラン看護師さん、話わ・か・る♪
そこはビシッと注意して頂いて助かりマス!

「スミマセン、でも、俺、彼女の付き添いなので、暫くここに居させて下さい。」

毅然とした態度で彼に注意を促した看護師さんに対して
彼は深々と頭を下げながら丁寧に謝った。


きっと私を想っての彼のそんな言動、嬉しいけれど
ベテラン看護師さんの彼に対する指摘を耳にしている今
“暫くここに居させて下さい” という彼のそんな言葉はちょっぴり困るというか


どうしよう・・・


「わかりました。くれぐれもお早めにお願いします。」


そんな彼の姿勢を目の当たりにしても一切態度が変わらない看護師さん。
お医者さんにあんな風に頭を下げられたら、ついつい恐縮しちゃいそうなのに
そんな様子は微塵も感じさせない

お早目にという言葉も強めに言ってくれちゃうなんて
さすが、ベ・テ・ラ・ン
助かりマス・・・・




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