ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来



「それでは、高梨さん、後で問診表を頂きにあがりますから、記入しておいて下さいね!」

『は、ハイい~!!!』


彼と話をしていた看護師さんが
突然自分の名前を呼んだことによって驚いた私の返事は見事に声が裏返ってしまった。

絶対に笑われる
彼は私のこういうマヌケなトコロを見逃す筈がないから

はあ、やっちゃったよ
もういい
問診表書くのに集中してるフリしようっと

そして私は即座に再びボールペンを握り問診表に目をやった。


「あの、俺・・・」

看護師さんとのやりとりは既に終わったと思っていた私の耳に聞こえてきた、なんだか自信なさげな彼の声。


「日詠先生、何か?」


そんな声に私だけではなくその看護師さんも振り返りそう返事をした。
その返事を耳にして、ついつい両肩を竦めてしまった私。
だって、あまりにも彼女のその返事の口調が鋭く感じてしまって。


「俺、救急当直の時、何か至らない点があったんでしょうか?」

『えっ?』

「はっ?」


発音は異なるものの、共に疑問形を口にした私とベテラン看護師さん。


お兄ちゃん、いえ、ナオフミさん
そうじゃないでしょ

ナースさん達がソワソワと落ち着かないのは
アナタの態度が至らないとか、医師としての技量が足りないとかじゃなくて
もっと別の次元というか
もっと乙女なシタゴコロがあるというか

というか、ナオフミさん
やっぱり自分が他人からどう見られているのか
やっぱりあまり理解してないんだ・・・

きっと福本さんが彼をからかいたくなるのは
きっと彼のこういう隙があるトコなのかな?

なんかカワイイなんて思えちゃうけれど
でもなんか、危なっかしい

愛しくてたまらない彼が
他の女の人の視界にも入るのが
こんなにも気になるなんて

私ってば、いつからこんなにも
彼に対する独占欲が強くなっちゃったんだろう?



「そうじゃないですけれど、ですから日詠先生、その・・・若いナース」


ピピピッ、ピピピッ・・・・


意表をつくような彼の質問に戸惑いを隠せなかったベテラン看護師さんの応対を遮ってしまった携帯電話の着信音。
それが彼のコートのポケットのほうから聞こえてきた。


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