ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
俺が帰ってくるのを予想していなかったのか
玄関ドアを少しだけ開けてくれた伶菜が
「ううん、まだ。まだ・・・ま○△□☆*◎×・・・・・」
ドアの隙間から、明らかに動揺している返事をしてくれた。
その後、大きくドアが開いても、彼女はまだびっくりとした顔をしている。
彼女の視線に沿って自分の身なりを確認。
白衣姿・・・わかってる
ポケットの中に鍵がないこと・・・わかってる
首?!・・・聴診器、ぶらさげたままだったな
というか、
俺の身なりを丁寧に見渡す余裕があるぐらいだから
昨日の昼間に、あの男にぶつかって、その後、何かがあったとかそういうことは
『無事だったみたいで・・・安心した。』
「えっ?」
特になさそうだ
瞬時にそう判断した俺は、そんなことを心配していたことを伶菜に覚られないように、
『だから・・・いや・・・やるかな。挽肉オムレツぐらいしか作れないけど、食べるだろ?』
敢えて話題を違う方向に逸らした。
挽肉オムレツに上手く釣られたように一瞬、嬉しそうな顔を見せた伶菜だが、みるみるうちに頬が紅潮し照れくさそうに視線を外された。
今まで、妹としてここで過ごしてきた伶菜とは異なる出迎えに
兄妹ではなく、新婚夫婦という雰囲気を感じずにはいられなかった俺は
『ただいま』
当たり前だったこの挨拶にも照れくささを感じずにはいられなかった。
「お、お、おかえりなさい♪」
伶菜のちょっとぎこちないその挨拶にも、
自分と同じ雰囲気を感じていることに嬉しさと照れくささを感じずにはいられない。
その後、彼女が自分のことを ”おにいちゃん”ではなく、”ナオフミさん”と呼び始めたことにも。
こうやって俺達の関係が変わり始めたことに幸せを噛みしめる同時に、不安も頭を過る
”俺、本気ですから”
そう口にした彼が今後、伶菜にどう近づいてくるのか。