ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
Reina's eye ケース8:あり得ない再会は突然に


【Reina's eye ケース8:あり得ない再会は突然に】



『イタタタッ』


割れた花瓶で左手を怪我して、ナオフミさんの勤務する病院の救命救急センターに彼に連れて来てもらった私。
付き添いしてくれていたけれど、ドクターコールで呼び出されてしまった彼。
そんな彼の後ろ姿が見えなくなった途端、激しい痛みが再び私を襲った。

おそらく、今、緊張の糸が切れた。
間違いない。


「マー・・」

私のそんな声に反応したのか
今にも泣きそうな声で私を呼んだ祐希。

そんな彼の顔を覗き込んだ私は

『あっ、祐希、朝ごはん、まだだった!食べよう!!』

彼が私の疼痛から生じるうなり声に反応したのではなく
彼はお腹が空いているというアピールをしたかったことにようやく気がついた。

とりあえず祐希と一緒に救急科の中待合室に入り、誰もいないのを確認した私は
ナオフミさんが手際よく作ってくれたお弁当を鞄から取り出して太ももの間にそれを挟んで右手で蓋を開けた。



“救急科の中待合室で食事をしてはいけません!”



もしかしたら
さっきのベテラン看護師さんにそう叱られるかもしれません

でも今は
子供がかなりお腹を空かしている
そんな緊急事態なので

もしこの姿を見つけてしまっても
どうか見逃してください



『かなり美味しそう・・・さっ、祐希、あーーーーん!』



私はナオフミさんに指示されていた “左手がこれ以上腫れないように心臓よりも手を上に挙げておく” というコトを実行しながら、太ももの間に挟まれていたお弁当箱から右手でベーコンエッグサンドを取り出して、祐希の口元に運んだ。
ナオフミさんが作ってくれたベーコンエッグサンドの美しさに目を奪われながら。


そんな時、

「股の間に弁当箱、挟むってどうよ?かなりカッコワリイ~。俺、手伝ってやる?」


頭上から聞こえてきたその声。



な、なんですと?
こんな姿を見られて恥ずかしいとかを通り越して、ちょっと怒れるんですけど


っていうか、この声

この人って・・・・



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