ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
Hiei's eye カルテ15:先輩医師からの忠告
【Hiei's eye カルテ15:先輩医師からの忠告】
「日詠先生。」
『・・・・・・・・』
「日詠先生?」
『・・・あ~、今・・・・』
「とうとう整形外科に来てくれることになったのかい?」
『・・・整形・・外科?!』
あまり聞き慣れていない上品な声
そして整形外科というワードで
いつもと何かが違う雰囲気に驚いて目を覚ました。
医局の自分のデスクの上に開いたままの手の外科書籍。
開いていたページには縫合方法が掲載されていて。
その上に突っ伏して眠ってしまっていた午後8時。
「しかも手の外科の手術を学んでくれているなんてね~嬉しいよ。」
『あっ、これ、その・・・・』
俺は伶菜の治療を依頼する対診書を渡してあった整形外科の矢野先生に声をかけられていた。
「高梨さんだっけ?日詠くんが紹介してくれた患者さん。僕、丁度、学会に出かけていて、執刀できなくてごめんね。」
『いえ、急なお願いでしたので。』
整形外科の矢野先生
手の外科部門の部長で全国でも名が通った医師らしい
院内でも、仏の矢野と言われるぐらい穏やかな人柄
診療科が異なる俺にも、気軽に声をかけて下さる
その後の伶菜の経過を知りたいと思った俺は、横のデスクの椅子を矢野先生の前に差し出し、座って頂くように促した。
ありがとうと言いながら腰掛けて下さった矢野先生。
今日も安定感のある穏やかさだ。
「さっき、高梨さんの経過、見てきたけれど、順調みたいだ。」
『・・・よかったです。ありがとうございます。』
実際に伶菜の手の診断ができない俺としては
専門の医師のその言葉は心強い
「高梨さん・・・妊娠はしていないみたいだけど、産科に通院中だったの?日詠くんが対診出してきたから・・・」
『・・・いいえ・・・』