ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
この後、彼女と言葉を交わしたら
ナオフミさんの話題がつい出てきそう
昨日の昼、医局前で
彼女がナオフミさんに“恋人とかいるんですか?”なんて訊ねていたのを耳にしてしまったし・・・
『あの、まだ、何かありましたでしょうか?』
それでも私は、通りすがりの患者を演じることに徹した。
失礼のないような丁重な口ぶりで。
そんなコトを聴くなんて
どういうつもりだろう?
そんな疑問は愚問
祐希とナオフミさんが血縁関係にあるのかを確かめることでナオフミさんと私の関係を探ろうとしている
私達がより深い男女の関係であるかないのかを・・
きっとそうに違いない
彼女にしてみれば迂闊な発言だったかもしれないが
きっとそうに違いない
以前、私が感じた
<彼女は彼に、ナオフミさんに恋心を抱いている>
という第六感が事実ならば・・・
だから、こうやって投げられてしまった変化球は、投げ返す
『この子の父親と・・・お知り合いです?』
それが一番安心だ
「・・・いえ、あっ、そ、そうです。私の大学時代の同級生にひ、え、、樋枝・・っていう男性がいて、その人とお子さんの目元が凄く似てるな・・って・・・」
しどろもどろな口調でそう言った彼女。
私と目を合わそうとしない彼女。
いや、目を合わそうとしないんじゃない
合わせられないんだ・・・
そういう私を目の当たりにした彼女はというと
大きな瞳を見開きながら、更に激しく首を横に振った。
そして彼女は相変わらず慌てた様子で口を開いた。
「違うんです!全然違うんです!!お子さんには何も落ち度はないんです!!!そうじゃないんです!!!!お子さんのお父さんはひえ・・・」
そう捲くし立てた彼女。
しかし、その途中で我に返った様子の彼女は言葉を詰まらせ、そして、目を閉じて自らの右手で口を塞いだ。
その瞬間、私達の間であんなにも目まぐるしく動いていた空気が止まったような気がした。
なんとか早くこの場を切り抜けたいという私が醸し出していた後ろ向きな空気と
私になにか訊ねようと緊張し慌てていた彼女が漂わせた焦燥感という空気
・・・それらがピタッと。
彼女が口にした“ひえ”は
きっと日詠先生、つまりナオフミさんのコトだよね?
“お子さんのお父さんは日詠先生ですか?”
きっとそう聴きたかったに違いない
ナオフミさんの話題がつい出てきそう
昨日の昼、医局前で
彼女がナオフミさんに“恋人とかいるんですか?”なんて訊ねていたのを耳にしてしまったし・・・
『あの、まだ、何かありましたでしょうか?』
それでも私は、通りすがりの患者を演じることに徹した。
失礼のないような丁重な口ぶりで。
そんなコトを聴くなんて
どういうつもりだろう?
そんな疑問は愚問
祐希とナオフミさんが血縁関係にあるのかを確かめることでナオフミさんと私の関係を探ろうとしている
私達がより深い男女の関係であるかないのかを・・
きっとそうに違いない
彼女にしてみれば迂闊な発言だったかもしれないが
きっとそうに違いない
以前、私が感じた
<彼女は彼に、ナオフミさんに恋心を抱いている>
という第六感が事実ならば・・・
だから、こうやって投げられてしまった変化球は、投げ返す
『この子の父親と・・・お知り合いです?』
それが一番安心だ
「・・・いえ、あっ、そ、そうです。私の大学時代の同級生にひ、え、、樋枝・・っていう男性がいて、その人とお子さんの目元が凄く似てるな・・って・・・」
しどろもどろな口調でそう言った彼女。
私と目を合わそうとしない彼女。
いや、目を合わそうとしないんじゃない
合わせられないんだ・・・
そういう私を目の当たりにした彼女はというと
大きな瞳を見開きながら、更に激しく首を横に振った。
そして彼女は相変わらず慌てた様子で口を開いた。
「違うんです!全然違うんです!!お子さんには何も落ち度はないんです!!!そうじゃないんです!!!!お子さんのお父さんはひえ・・・」
そう捲くし立てた彼女。
しかし、その途中で我に返った様子の彼女は言葉を詰まらせ、そして、目を閉じて自らの右手で口を塞いだ。
その瞬間、私達の間であんなにも目まぐるしく動いていた空気が止まったような気がした。
なんとか早くこの場を切り抜けたいという私が醸し出していた後ろ向きな空気と
私になにか訊ねようと緊張し慌てていた彼女が漂わせた焦燥感という空気
・・・それらがピタッと。
彼女が口にした“ひえ”は
きっと日詠先生、つまりナオフミさんのコトだよね?
“お子さんのお父さんは日詠先生ですか?”
きっとそう聴きたかったに違いない