ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来



壁にもたれていたはずの彼は
いつの間にか私の目の前にいて

しかも

その大きな身体を若干前屈みさせてから私の額に彼の額をゆっくりとくっつけた。


「言ってみ。」


そして彼はそう口にし、まるで悪いことをした子供から言い分を聞きだすような親のような空気までも醸し出す。


そんな彼と額で繋がったまま向かい合わせになってしまった私は
額を通じて感じる彼の体温にもドキドキせずにはいられずに

美咲さんに私というミライのパートナーの存在を示そうとしなかったナオフミさんに対して感じてしまった不満とか
森村医師の言動によって大きく心が揺らいだ自分が抱いた
ナオフミさんに対する申し訳なさとか


彼に対するそのような相反する感情が自分の中でやや薄らいだ気がした。




もう・・・・彼を騙せない

自分も・・・もう騙せない



だから、言うコトはひとつ

それは、この前、彼に言えなかったコト

それがちゃんと彼に言えれば
森村医師のコトとか美咲さんのコトとかそんなのも
本当にどうでもよくなるはず



彼の傍にいられるのなら
彼とこうやって繋がっていられるのなら

そんなこと、どうでもよくなるはずだよね?



だから今度こそ口にしてみる

この前はグッと飲み込んだけれど

今度こそは・・・・





『・・・も、もう少しでもいいから』









ダメだ
やっぱり言えない
だって、ナオフミさん忙しいんだよ

一緒に住んでるんだからよくわかってるはずじゃない
彼がいかに多忙であるかを



だからダメ
どうせ、もう少ししたら退院できるんだし


そうだよ
あと少しの辛抱じゃない


家に帰れば、今よりかははるかに
一緒にいられる時間は増える




だから

今はその言葉を口にしちゃダメ!

我慢だ、ワタシ!











「一緒に居たい」


『・・・へっ?!』






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