ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
お互いに額をくっつけ合っているそんな近い距離でも聞こえない囁き声で何かを喋った彼。
私はいつものごとくマヌケな声で聞き返し、自分の額を引き離して彼の様子を窺った。
けれども・・・
「・・・もう少しでいいから、病院食のデザートの量、増やして欲しいだろ?」
彼はニヤリとイジワルな笑みを浮かべ前屈みにしていた上体を起こして真っ直ぐと立った。
さっきの囁き声、もっと短い言葉だったような・・・
ナオフミさんって
結構こういうコトするんだよね
ボソッと呟いた言葉をもう一度聞き返すと
イジワルな顔でちょっぴりからかいながら教えてくれたりするコト
でも、そういうイジワルな彼もスキ・・・
それでもちゃんと反抗するのも忘れちゃいけないよね?
『そうじゃないもん!!!』
「ほら、アヒル口になってるぞ!」
『イジワル!!!!』
それも彼と私の大事なコミュニケーションだから
森村医師みたいなオレ様で大胆なイジワルは勘弁だけど
あ~ナオフミさんといる今は
想い出したくない人物を想い出しちゃった
はあぁ~・・・
「で、本当のところは何?」
大きな溜息をついた私にナオフミさんは
またまた真剣な顔に戻っている。
そんな彼の眼差しに私は吸い込まれそうになった。
きっとさっきの彼のイジワルな態度は
自分の気持ちを伝えるのを踏みとどまった私を見透かした上でなんとかそれを言わせようとした彼の策略、いや魔法に違いない
だから
もうこのまま黙ってるの・・限界
もう彼を、自分を騙すの・・本当に限界
『もう少しでいいから、傍』
コンコンッ!ガチャ!
彼にじっと見つめられたまま、若干唇を震わせながらその言葉を紡いでいた私のはるか前方で、誰だろうなんて考えている間がないぐらいの勢いで開けられてしまった病室のドア。
「高梨さん!リハビリチェック表の回収に来・・あー!!!もしかして、産科の日詠先生ですよね?」