ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
ナオフミさんと向かい合ってた私は彼の大きな体の影に隠れてしまっているせいでその声の主が誰だかわからなかった。
けれども話の内容からすると整形外科病棟の女性看護師さんらしいことだけはわかった。
声をかけられたナオフミさんはというと
一瞬、両肩を竦めたものの、黙ったまま即座にその看護師さんのほうを振り向いた。
「あれ?高梨さんは?」
ここです!
私はここに居ます!
目の前に日詠先生が居て
彼の陰に隠れてしまっていて姿が見えないと思いますが・・・
って教えてあげたほうがいいのかな?
「自分もここに来た時には、姿が見あたらなくて・・・」
ナオフミさんがそう言いながら後ずさりをしたせいで
ベッドの端に腰掛けていた私の鼻先に彼のお尻がぶつかりそうになった。
ナオフミさん!
それ以上後ろに下がると
お尻ぶつかっちゃうってば!!!
って言ってあげたいけれど
どうやら私、今、ここにはいない人になってるし・・・
というか
なんで私、ここにいないことになってるの?
私、ようやく彼に“傍に居たい”って伝えようと思っていたのに
伝えようとしていたその相手に“いない人”にされちゃった
しかも、今、彼の背中しか見えないし
きっとナオフミさんには何か理由があってそういうコトにしちゃったんだと思うけど
はぁ~
ナオフミさんと私って
いつも大事な時に限ってこうやって邪魔が入るんだよね
せめて私をいない人にしてくれちゃったナオフミさんに
背中越しに“私はここにいるってば”というプチ反抗アピールをしようかな
そして彼の不可解な言動によってややイラついて小悪魔になり始めた私がそのアピールをするために彼が着ている白衣を引っぱろうと右手を挙げた瞬間。
グイッ!!!
私の右手首は彼の右手に掴まれてそのまま彼の背中に押し当てられてしまった。
そして更に彼の長い指が私の手を探るように絡みつき
看護師さんが気がついていない状況で
ナオフミさんと私の手は
・・・こっそりと繋がってしまった。
小悪魔になるはずだったのに
病室、しかも看護師さんが目の前にいるというありえない状況で
手のひらからだけでなく手の甲からもジワジワと伝わってくる彼の体温までも感じてしまった私の心臓は
・・・ドキドキせずにはいられなかった。