ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来



『申し訳ないのですが、僕、今日は猫がお腹空かせて待ってるから。メシを作ってやらないと・・・だからせっかくの申し出だけど・・・』


女性が食いつきそうな話題で


『ん?そうだな、目がクリクリしていて、結構寂しがりやで・・しかも結構ドジ。』


しかも、伶菜の存在の匂わせるような内容で・・・


それに上手く乗ってくれた看護師からの、ウチのメス猫に関する詳細な質問によって
逆に伶菜を意識し過ぎて、つい笑みがこぼれてしまう


伶菜が猫になったら
甘いもの持ってたら、ちょこちょことすり寄ってきたり
布団の中でも俺の腕の中にすっぽり収まってすやすや眠ったり
遠慮なく風呂に一緒に連れて行って、毛並みを整えながらシャンプーしてやる

俺は完全に猫の伶菜嬢でも首ったけになるんだろう




こんな妄想するまで
どこまで俺、伶菜不足なんだ?

あ~ホント
早く一緒に帰りたい




「また今度、レイちゃんに会わせて下さいね♪」


俺の妄想話を信じてくれたらしいその看護師は、俺との食事を諦めてくれたようで一安心。



でも聞き流してくれなかった人がいて。

「もしかして、猫、本当に飼ってるの?レイちゃんだっけ?」

猫にされていると思っていないらしい張本人に疑われてしまう始末。



どうやら、食事に誘われたことによる女性関係についての困った誤解ではなく
猫を飼っているというかわいい誤解をしてくれているらしい伶菜。


猫になった伶菜もきっとかわいいだろうけれど

『・・・元気がでるようなゴハン、作ってきてやる。楽しみにしとけな。あと・・・』


でもやっぱり、目の前の伶菜と一緒に居たい

『・・・伶菜が退院したらさ、婚姻届、一緒に出しに行こう。休み、なんとか取るから。』


他人の目を気にすることなく
心安らぐ俺達の家で・・・


職場であるこの場所で、こういう私的な、幸せな言葉を口にしてしまうなんて
伶菜不足状態に背中を押された格好だったんだろう



でも、なぜか伶菜の


「・・・・う、うん。」

なんとも歯切れの悪いその返答から
そういう俺との温度差が感じられた。


やっぱりどうかしたのか?
何かあったのか?
その温度差を探りたい

そう思った瞬間。
それをさせてはくれないPHSの着信音が鳴った。





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