ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来



それを鳴らしたのは、産科看護師長の福本さん。


「ナオフミくん。どこにいるの?」

「大変なことになっている。屋上に急いで!!!!」





ついさっきまでここで
食事に誘われてそれをどう断ろうかとか
伶菜に女性関係で変な誤解を抱かせたくないとか
伶菜が猫になったらと妄想してみたりとか
婚姻届を出しに行こうとか


そんな話をしたり、考えたりしていたのが嘘かと思ってしまうぐらい
俺は息が詰まりそうな現実に引き戻された。


幸せな思考に埋め尽くされかけていた俺と気遅れ気味な伶菜との温度差を探り出せないまま
この温度差が、俺と伶菜の距離間に繋がっていることにも気がつかないまま

俺は突然、自分に降りかかってきた現実を背負って屋上へ向かった。



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