ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
俺に言葉を遮られた彼女
さすがに問い詰めてきた相手が先に答を言ってしまうなんて意味不明と思っているに違いない
『・・・もう少しでいいから、病院食のデザートの量、増やして欲しいだろ?』
だから、こうやって誤魔化すしかなかった
でも、意外と俺の誤魔化した言葉に反論する伶菜。
からかわれている・・そう思ってくれたみたいだ。
もう1回、本当に聴きたかったことを聴けそうだと踏んだ俺は
何があったかと再度問いかけた。
「もう少しでいいから、傍」
彼女から聞こえてきた、傍という単語に、
自分と同じ、傍に居たいという想いを抱いてくれていただけなんだと
俺は改めて安堵した。
森村医師
私服姿は派手めで、言動も無茶苦茶だと感じることもある
昨日、医局で、思いつめたような声色で何かを呟いていた
看護師にも変態おっさん呼ばわりされていたけれど
さすがに、患者という立場の伶菜に変なことしないよな
そういうことを思いながら、彼女からもたらされるであろう返答を待っていた最中、
「高梨さん!リハビリチェック表の回収に来・・あー!!!もしかして、産科の日詠先生ですよね?」
突然開いた病室のドア。
まただ
知らない女性看護師に声をかけられること
でも、今日の俺は、なかなか自分の思い通りにはいかない。
「高梨さんはまた後でいいや。日詠先生のほうがなかなかお会いできないですし♪・・セ・ン・セ・・・私、佐伯って言います!!先生に是非、教えて欲しいことがあるんですが♪」
『・・・・えっ?』
「もしよろしければ今晩、お食事でもしながら教えて頂けません?」
思い通りにいかないどころか
想定外
しかも、伶菜の目の前で誘われるとか
俺にとってはあり得ないこと
ようやく想いが通じ合って、もうすぐ結婚するというところまでたどりついたのに
女性に誘われることで伶菜に誤解されてしまうなんてことは
本当に勘弁して欲しい
伶菜に再会する以前も誘われることはあった
その時は、そういう女性には本気にならないという自分の中での線引きをした上で適当に付き合ったりした
でも伶菜と再会後はそんなことをしようとも思わなくなった
特に、伶菜と再会して兄妹という関係で同居していた頃で
彼女を愛しいと自覚しながらも、兄妹という関係から抜け出せないジレンマに憑りつかれていたその頃
医大同窓生である女医の三宅に半ば騙された格好で呼び出され、
あと一歩で三宅を伶菜の身代わりにして抱いてしまいそうだったという過去を充分反省している今は特にそう思う
『僕でわかることなら教えるけど、でもさ、食事に出かけるじゃなくて、質問ならナースステーションで受け付けるけど、それでもいいかな?』
だから、誰が聴いても疚しい返答ではない返答をなんとか口にしたものの、それでも食事に行こうと誘ってくる
・・・言い方は失礼かもしれないが、手のかかるその女
もうこうなったら、目先を逸らすようなことを言うしかない・・・