ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来




「来ないで下さい!!!!私、もういいんです。これでいいんです。」

「・・・・・・・・・」


ナオフミさんは黙ったまま、感情的になって叫んだ美咲さんらしき白衣姿の女性のほうへ近付いて行った。


「私は、弛緩出血を起こしていた妊婦さんを目の前に・・・上野部長が傍で指示して下さっていたにも関わらず、言われたことを何ひとつできなかった・・・・輪状マッサージ1つでさえも・・・日詠先生に支えられてようやく頑張ろうと思えてきてたのに、やっぱり怖くなって・・・・」


「・・・・・・」


「私、ドクターになるまでは、なにもかも自分の思うように事が運んで・・・自分はなんでもできるんだって思っていたのに・・・なのに・・なのに・・・・」




首を小刻みに横に振りながらそう声をふり絞った彼女。

それでもま言葉を発しないまま歩みを進めていたナオフミさん。




そんな彼の後ろ姿を目にした私は
彼がどこかへ消えてしまいそうな錯覚を覚えてしまった。




白衣を纏った彼の後ろ姿


それを見ると、私はいまだに想いださずにはいられない
あの時あったことを・・・・


祐希がまだお腹の中にいた頃、ナオフミさんに
祐希には心臓病があることそして彼が自分の兄であることを告白された時

・・・・彼は私を診察室に残したまま消えてしまった





その時の彼の後ろ姿を見た私は

本当に苦しくて・・・・

切なくて・・・・


その後も彼の後ろ姿を見るたびに
よみがえるその記憶





今もそう



だから

今すぐに彼の元に駆け寄って

彼がどこにも行かないように

捕まえたい・・・




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