ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
彼女は体を小刻みに震わせながら嗚咽を上げて泣いている。
今はただ泣けばいい
何も考えることなく
何も怖がることなく
できないことだってある
わからないことだってある
だから俺達医師は学び続けるんだ
自分の五感を研ぎ澄まして
時には第六感を感じながら
美咲が抱える苦悩は
これからみんなで支えてやればいい
そんな想いを込めて、抱きしめたままの彼女の背中をトントンと叩いた。
早まっている彼女の心臓の鼓動が少しでもゆっくりになるように、ゆったりとしたリズムで。
「私、日詠先生が傍にいないと、ダメなんです・・・私、もう、高梨さんに・・・先生の恋人に恨まれてもいい・・・私、日詠先生の」
『・・・・・・・・』
泣いていた美咲が、呟きながらそう俺に打ち明けている最中に、ふと感じた視線。
チラッとそちらに目をやると
踵を返して屋上出入口のほうへ向かう伶菜らしき女性の姿を見つけた。
『伶菜・・・』
まさか今のこの状況
伶菜にも見られていたのか?!
ついさっき、伶菜の病室で
女性関係を疑われてもおかしくないことがあったんだ
その時から、数分しか経っていない今のこの状況
今度こそ伶菜に疑われても仕方がない
でも、今、伶菜を追いかけて
この事情を正確に説明することなんてできない
俺自身が、ひとりの先輩医師として彼女を支えようとして
抱きしめただけなんて
伶菜が今のこの状況を直に見てしまった以上
簡単には信じてはもらえないだろう
「日詠先生のことがスキです・・・」