ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
Hiei's eye カルテ19:今、自分ができること

【Hiei's eye カルテ19:今、自分ができること】



医局につながる廊下で森村医師に抱きしめられていた伶菜。

その姿を見て、自分がそうさせてしまったという想いのせいで
ふたりに何やってるんだと声をかけられないどころか
目の前で起こっている現実を受け入れられず、その場に居続けられなかった。


そんな中、タイミング良くドクターコールが来る。
業務に就いていなきゃ、俺は現実によってもたらされるマイナス思考に雁字搦めになっていただろう。
それを振り切りたい俺は走って産科病棟へ駆け付け、妊婦の処置をした。




「美咲のこと、いろいろごめんね。」

処置の内容を電子カルテに入力している時に、背後から奥野さんに謝られた。


『いえ、俺の後輩でもありますから。』

「でも、日詠クンに美咲のフォロー、依存し過ぎてたわ。浜松から日詠クンを呼び戻した時も。」

『あれは看護サイドの判断で呼ばれたようなものでしたから。それにあの時は、奥野さん手術中だったから。手術中じゃフォローできませんよ。』

「上野部長に美咲のフォローお願いしたのに。あの親父、全然ダメね。周産期センターの管理業務を優先しちゃっていて。さっきの弛緩出血もぎりぎりまで美咲ひとりで対応させていて、後からやってきて怒鳴ったりしたみたいよ。」

『相変わらずですね。そういえば美咲は・・・?』

「とりあえず、仮眠室で休ませている。寝不足続いたみたいだし、自宅に帰らせて、また無茶なことをしたりするのも心配だったから。でも、屋上にいた時よりも少し落ち着いたわよ。」


落ち着いたという奥野さんからのコメントにようやく安堵して
美咲の異変・・・それが上野部長が一枚も二枚も絡んでいることがわかり、
改めて産科チーム全体で美咲を支えていかなきゃいけない
そうも思った。




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