ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来





姿は見えないものの確かに聞こえたその声。



「なーんだ、森村センセ、居たんだ・・・・聞こえちゃった?っていうか、今日、珍しく当直ですか?」

「んー当直じゃないけどなんとなくいるってトコかな・・・主任達の会話も丸聞こえってトコだよ。」

「ワハハ、そんなタマって、悪い意味じゃないですからっ・・・っていうか当直じゃないのに居るなんて珍しいですよね。明日、雨どころか雪降るかもねーーー。」



医師と看護師の会話なのに緊張感なんてどこにもない、和やかな雰囲気が伝わってくる。
その人達の姿はいまだに一切見えていないのに。


ワハハハッ!!!!


それを象徴するかのように看護師さん達の笑い声が静かな病棟内に響いていた。



「雪降るって、反論できないオレもしょうがないよね。だって深夜なんてほとんど病院にいないし。で、処置カートってもう片付けちゃった?」

「いえ、あとガーゼを補充するつもりでそこにありますけど・・こんな深夜に処置するんですか?」

「まあね・・・眠れない蝶が彷徨っているからさ♪」



そう口にしながら、ナースステーションの向こう側からとうとう姿を現した森村医師。


彼はナースステーションのカウンターの上で手を滑らせながらさらにこっちのほうへ近付いてきていた。

動けないままでいた私は見事に彼と視線がぶつかってしまった。



「眠れない蝶?なに、ソレ?あっ、処置のヘルプ、つきます?」

「あ、オレ、一人でできるからヘルプつかなくてもいいよ。カートだけちょうだい。」



彼は顔をナースステーションの内部へ向けているも
視線は完全に私を捉えていた。



さっきあんなことがあって
・・・スキだからとか言われたり
・・・唇を重ねてしまったり


そんなことがあったりした森村医師とも
まともに合わせる顔がないのに

この場をどう切り抜けようとか
そんなスキを与えない雰囲気




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