ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
それでも、顔を逸らすことなく俺をじっと睨みつける彼。
「彼女がこういうモノに縛られることなく、彼女のこれからを彼女自身がまっさらな状態から、ゼロから考えられるように・・・解放してあげるために、こうしたんです。」
自分のしていることを正当化している彼のその言葉。
でも、彼が言うとおり俺は
この婚姻届に
伶菜に
依存していたのかもしれない
彼女のこれから、そして
俺達のこれからというものを・・・
ここ最近の自分に反省し始めていた俺に
「縫合した腱が、今の時期、最も脆弱な状態であるのは日詠さんもおわかりですよね・・・?そんな状態で彼女が自宅に戻って、家事、育児に取り組んだら、腱が再断裂しかねない。」
「オレ、彼女がどういう選択をしようとも、彼女がオレを拒まない限り、自分は彼女の左手が完治するまで、彼女の主治医を務めていくつもりです。弱気になって途中で投げ出すなんてマネはせずに、ちゃんと最後まで。」
「だから、縫合腱の保護と再断裂の予防、そして重点的なリハビリの実施目的にて彼女の入院期間の延長を指示します。」
医師としてしかも主治医として御《ご》尤《もっと》もな理由、説明をした彼。
そうやってあり得ない行動を
それらで完全に打ち消した。
重点的なリハビリの実施目的での入院期間延長という主治医らしい彼の言葉によって
俺は彼に逆らう余力を完全に奪われた。