ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来



「・・・でもそれはただの言い訳です。本当のところはアナタのところに帰って欲しくない・・・・・彼女がアナタのところに戻ったら、オレ、完璧・・・不利ですから。」

「日詠さん、オレ、医師としての行為を逸脱しているマネしてるってわかってます。でもオレ、今度こそ、彼女を・・・高梨さんをどんなことをしても守り抜きたい・・・そう思ってますから・・・」




彼のそれらの私的で自信に満ちたその言葉からも、

彼の勢いには敵わない

そう感じずにはいられなくなった俺は
彼の胸倉を強く掴んでいた俺の両手の力がすうっと抜けた。

そしてもう彼と向き合う気力さえも奪われた俺は彼に背を向けずにはいられなかった。


その状態に陥ってしまった俺が

「森村さん、ひとつだけ聴かせて欲しい。」

考えることができることはたったひとつ



「伶菜を・・・彼女をどんなことをしても守り抜く、そんな自信が君にはあるのか?」




本当に伶菜を守ることができるのか
その覚悟ができている人間なのかを
彼女の前ではっきりさせること


もし、少しでも怯む様子が見られるようであれば
俺は絶対に伶菜を渡さない




「もちろんです。オレ、今のオレなら、彼女に何でも与えてあげられる。気持ちに余裕を持って育児に専念できるような安定した空間を、共に過ごす多くの時間を、そして・・・自分に愛されているという幸福感、守られているという安心感をも。」


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