ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来




『美咲・・・大丈夫だ。』

「でも・・・」

『俺と伶菜はダメにはならない。』



俺と伶菜がダメにならない根拠なんてない
でも、昨晩、一度諦めかけた俺が今、諦めたら
本当にダメになってしまう
そんな気がする

だから、口にするんだ
ダメにならない・・・と

言葉にすることが
苦手だろうと
へたくそだろうと
それをしないと
現在の状況は打破できない



「・・・他の男の人に恋人が抱きしめられていてもですか?」

『・・・ああ。』


例え、自分が戸惑いそうな言葉を聞かされても
そこで不安丸出しな返答をしたら美咲に新たな誤解を与えてしまう


『ダメにならない。俺達は。』


だからはっきり口にする
俺が今、心から願っている言葉を・・・



『だから美咲は、学会発表の準備に専念しろな。』

「・・・・・・」

『質疑応答、しっかり準備しておかないと、当日、大変になるぞ。俺も相談に乗るから』。

「・・・はい。頑張ります。」


俺は彼女が持っていたUSBメモリーを自分のほうに差し出すように促し、受け取ったそれの中に保存されている学会スライドを確認し始めた。

これ以上、伶菜と俺のことにこれ以上踏み込んでほしくないという予防線を張るために。


『また、時間見つけてフィードバックするから。』

「・・・宜しくお願いします。」


俺はこの時、
自分が張った予防線を美咲はちゃんと感じ取ってくれた
そう思っていた。





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