ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来



今、私が一番顔を合わせにくい相手

でも、一番会いたかった相手

その人が

私の左腕を強く掴んでしまってる


というか

ワタシ、本当にどうしたらいい?






『ナオフ』


「日詠先生・・・今の話、聞いていらしゃったんですか?」



突然姿を現しただけでなく、私の左腕を強く引っ張っているその人の名前を私と美咲さんは同時に口にした。


けれども私の声は美咲さんの驚きが入り混じった声に掻き消されてしまって。




「ああ・・・・・」



1週間前、整形外科病棟の処置室にいた私の前から消えてしまった時の苦しそうな表情が嘘だったように思えるぐらいナオフミさんの横顔からは冷静さが漂う。


そんな彼の・・その声によっても
彼らの会話に入り込む余地すら遮られてしまった私。


だから蚊帳の外状態な私は彼らの言動を、そして表情をただ見ているしかなかった。



「聞かれちゃってたんだ・・・じゃあ、聴かせて下さい。日詠先生が私のコトをどう想っていらっしゃるのかを。」







突然姿を現した日詠という人物に
驚きの表情を隠せない美咲さん。

それでも彼のコトをスキでいることをやめられない彼女の強い気持ちも隠すことができなかったようだった。



「すまない・・俺、先を急ぐから・・・」



そんな美咲さんの前で謝罪の言葉を紡ぎながらも
顔色ひとつ変えずに更に私の左腕を強く引っ張ったナオフミさん。


言葉上では急いでいるはずの、焦っているはずの彼なのに

彼の傍らでその横顔をその声を目の当たりにしていた私には・・・彼の中に焦燥感とかは一切感じられなかった。





なぜだかわからないけれど

彼からも
美咲さんに負けないような強い気持ちというモノが
感じられたから・・・・



もしかしたら
ナオフミさんの中で
何かがふっきれたのか、な・・・?





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