ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
Hiei's eye 24: もう誰にも邪魔させない


【Hiei's eye 24: もう誰にも邪魔させない】





伶菜を整形外科処置室に置き去りにしたあの夜
美咲に “伶菜と俺はダメにはならない” と予防線を張ったあの朝から1週間。



「日詠先生。だいぶ、passive ROM の手の感覚、良くなってきていますね。」


『自分でもわかります。』


「油断してはダメですよ。力入れ過ぎたら腱断裂してしまいますから。」


『気を付けます。』



俺は、美咲の学会準備の支援をしながら、自分の学会発表準備をするという忙しさはあったものの、リハビリスタッフの松浦さんの厚意に甘えて、お互いの日勤始業時刻の30分前にリハビリ練習をさせてもらっていた。



「だいぶ上手くなってきましたし、そろそろ患者さんの手でやってみてもいいかもしれないですね。」


『えっ?』


「時間が許すようでしたら、高梨さんのリハビリ、やってみます?」


『・・・いいんでしょうか?』


「そのために練習しているじゃないですか。」


『・・・・・・・・・・』




確かに伶菜のためにリハビリ練習している
けれども、伶菜にこのことは何も言っていないし
あの夜、森村医師からは2週間入院延長すると言われてしまったから
俺が彼女のリハビリを手伝う機会がなかった


でも、俺はあの夜から伶菜に会っていない
会いに行くことができない
情けないけれど合わせる顔がない

それなのにこうやってリハビリの練習を続けている
きっかけが掴めないまま・・・・・

でも、松浦さんが勧めてくれたように
彼に見守ってもらいながら俺が彼女のリハビリをする機会は
彼女と向き合えるきっかけになるかもしれない




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