ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来



「それじゃ、帰る準備しようか。早く出かけなきゃいけないしな。」

『うん、着替えるね。』

ようやく安心した顔を見せた彼。
名古屋までは一緒に居られるから、帰り道ぐらいは彼と甘い時間を過ごしたいなぁと自然に込み上げてくる笑みを浮かべ、そう返事をした私に


「シャワー、浴びないのか?」

イジワルな声でそう囁いた彼。
明らかにさっきの私の真似。


『・・・・・・・・・・』

恥ずかしい発言をしていた自分を真似されたという恥ずかしさの上塗りによって、彼からあからさまに視線を外し俯くしかなかった私。

い、言えない
私もアナタの香りにこのまま包まれていたいから
・・・このまま帰るなんて

だってそれを口にしたら
私の顔、もっと真っ赤になっちゃうから

時間がないにも関わらず
二人でいられるあとわずかな時間だけでも
彼との甘い空気にどっぷり浸かろうとしていた私の耳に




ドンドンドン!!!!!!!


ドアを激しく叩く音が滑り込んできた。

今から思えば、この音も聞きたくなかった。
だって、この音がこの後、彼と私の間に起こってしまった出来事の引き金を引いていた音のようにも思えてしまったから・・・




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