ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来



そして私は唇を小刻みに震わせながらも彼に声をかけた。

一緒に行こうと言ってくれている彼の意思に反することを口にしようとしていることにも後ろめたさを感じながら。



彼がどんな反応を示しても
私はもう戻れない



彼のあの広い胸に
そして
居心地がよすぎるあの空間に・・・・


彼がどんな反応を示したとしても

もう・・・・









「伶菜、お前、やりたいコトがみつかった・・・そうなんだろう?」


『・・・えっ?!』


「そんな顔、してるように見えるのは、俺の気のせいか?」





大きな左手で私の右頬をそっと包み込みながら囁き声でそう呟いたナオフミさん。

彼の温かくそして心地いい体温が彼の左手を介して伝わってきてくる。

それだけではなく
私の考えていること全てが
彼にはお見通しであるということも・・・。









ハーア・・・・










「・・・俺はお前に傍に居て欲しい。」




彼の口から大きな溜息がこぼれた直後に低い声で紡がれた言葉。



頬に伝わる彼の体温と
聴覚を介して響く彼のその言葉によって
・・・私の意思ベクトルは簡単にブレ始めてしまった。





きっと彼が望むように

彼の傍に居たほうが

自分にとってそして祐希にとっても

幸せなのかもしれない


“安定感”


大人な彼には
充分と言っていいほどそれが備わっているから・・・・




やっぱりそうなのかな?

ナオフミさんと一緒に居て
今まで通り彼に甘えているだけのほうが
・・・・いいのかな?









「でもそれはきっと、俺のワガママなんだな。」






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