ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来


『意味不明だな。スキだから手放すって。』


「・・・夢を見つけてしまった人間の邪魔をするわけにはいかなかったんだ。」


『へえ~、夢ね・・・だからあんなにもリハビリ頑張っていたんだな。絶対に治すって意気込んでいたからな。』


「・・・そうか。」


さっきは浮気という俺の言葉で眉を思いっきり下げた彼なのに
彼女の頑張りを耳にしたせいかようやく安堵した顔を見せた。



『一緒に居て、叶えられる夢じゃなかったのか、レイナの夢は・・・』


「そうじゃなかったみたいだな・・・」


『ひとりで息子を育てることだって大変なんじゃないのか?』


「俺もそれは考えた。でも、"今度こそ自立する"の書置きひとつ残して、引っ越してしまったんだ。」




この人、どうやら自分の激務に追われて自宅に戻れない日々が続いた際に、レイナに出て行かれたんだな

しかし、レイナも腹を決めたら、子連れで誰の手も借りずにで引っ越してしまうなんて・・・アイツ、やると決めたらとことんやるから、らしいと言えばらしいよな

それにしても、合い鍵は、ポストの中か?ガスメーターの中か?それとも植木鉢の影か?


そんなことを目の前でしょんぼりウーロン茶を飲んでいるこの人に確認することは
多分、奈落の底まで蹴落とすことになってしまうんだろう

さすがに俺はそこまで鬼になれない


けれども、人の不幸は蜜の味
人生一度くらいならそれは味わっておかないとなァ

結局、鬼になるけどな、俺



『じゃあ、レイナの近況は俺のほうが詳しいわけだ。』


「・・・・・」


『俺、今日、外来診察でとれたてレイナ、ゲット!』


「・・・いいなぁ。とれたてレイナ。」


『はっ?正気?!』


「・・・正気。」





< 400 / 542 >

この作品をシェア

pagetop