ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来


欲しいモノ全部手にしてきたような男からの
まさかの ”いいな”” 正気” 発言

やっぱりふられたんだな
どうりで覇気がなかったわけだ
スキな女にポイって捨てられちゃったんだからな


学生時代、このモテ男がフッた女の子達の涙を何度拭いてやったかわからない俺
なぜかフラレた彼女達は、”日詠くんは悪くない””日詠先輩のせいじゃない”と言っていたせいで、
この男は極上イケメンを売りにしたセコい男だと嫌悪感を抱いていた俺
そんな過去の彼女達や俺に教えてやりたい

今はキミ達をフッた、ただセコいだけの男の涙を俺が拭いてやっているって!!!



『まあ、飲めよ。信頼できる美咲ちゃんが今晩は当直なんだろ?』


「そうだな。」


俺が差し出した生大ジョッキを受け取り、グビリと一口飲んだ彼。
よっぽど久しぶりだったのか、彼は目を閉じながらビールの喉越しをじっくりと感じ取っているようだった。

俺の想像以上に、この男、相当参っているんだな
レイナに捨てられたことを・・・

俺がざまーみろって吐き捨てられないぐらい




『たまには、こうやって飲むのもイイだろ?』


「ああ。」


『素直じゃん。』


「素直だったら、今、こんなことにはなっていない。」


『やっぱりかわいくないな~、ふられた者どうし、仲良くやろうぜ。』


「ふられた・・・のだろうか?」


『認めろよ。世の中、モテ続ける、勝ち続けることは無理だしな。ほら、飲めって!』



今まで見たことがないぐらいの情けない顔をした彼に
俺の大好物のネギマを1本差し出した。

ありがとうの会釈ひとつ見せて俺からそれを受け取り食べ始めた彼。

フレンチやイタリアンをスマートに食べこなしていそうなミスター名古屋医大殿堂入り特上イケメン男が
生ビール大ジョッキ片手にネギマを齧《かじ》る姿。
それはあまりにも珍しくて。



『ネギマを齧《かじ》るミスター名古屋医大レジェンド!ブロマイドにして、院内で販売しよっかな~』


その姿をスマホで激写しようとしたら、ヤメろと手で制止された。



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