ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来



私は相変わらず彼の後ろ姿しか見えていないままであったけれど
彼は・・ナオフミさんは穏やかな声でそう言いながら軽く会釈をしていた。



「なんだ、日詠サンもこの病院に誘われていたの?でも断ったんですね?レイナがいるっていうのに・・・やっぱりアソコを離れる勇気がなかったんだ・・・ダメだなあ、日詠サン!」


「・・・・・・・・・・」



ナオフミさんの後方で不敵な笑みを浮かべながら
いかにも彼らしく悪態をついた森村医師に対して

振り返りざまに軽く睨みをきかせながら小さく溜息をついたナオフミさんは今度は坂田院長に背を向けて再び歩き始めた。

奥野先生、森村医師
そして私が立っているこちらのほうへ向かって。




「いやあ、それじゃ仕方がないな・・・ま、レイナのコトはボクがこの病院で医療人としてのノウハウを一から手取り足取り教え込みますから、日詠サンは心おきなく南桜病院で頑張っ」






グシャッ!!!!!!





「ぶっ!!!!!イテッ!!!!!!!何するんですか!!!!!!日詠サン!!!!!」








院長室中にこだました男性の疼き声。

それは森村医師の腹の底から発せられたものらしかった。





「・・・・・ふん。」




そんな彼の真横には
いかにも呆れた表情を浮かべながら
一枚の紙を彼の顔に押し当てた
ナオフミさんの姿があった。





「日詠サン!!!!!!いい加減、痛いってば!」


「・・・悪いな。ちょっと押し付けすぎたか?」



紙を顔に押し当てられたまま必死にもがく森村医師の力に圧倒されたのか、ナオフミさんは少々、紙を押しつける力を緩めた。




「・・・・やりすぎ、やりすぎだって!オレの鼻、潰れちゃうじゃん!!!!!っていうか・・・コレ何?」


「中川院長からだ。」




今度はやや興奮気味な声をあげながらも
ナオフミさんに押し付けられた一枚の紙をようやく顔から外し、それに目を落とした森村医師。

その様子をナオフミさんは相変わらず冷ややかな視線で見つめた。




「・・・何・・・ワケわからないこと、言ってないで戻って来い・・・・?!・・・あの中川のオヤジめ、何、言ってんだか!あーーー、やなこった!オレ、もう決めたモンね!」







ビリビリビリッ!!!!!!






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