ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
ナオフミさんからゆっくりと差し出された一枚のA4用紙。
いまだに彼とどう向き合っていいのかわからない私は
相変わらず彼に目を合わせることもできないままで。
差し出されたその用紙へ即座に視線を移動するのが
私の“精一杯”の反応だった。
「・・レイナにもメッセージあるのかよ。なに、なに・・・」
耳元から聞こえてきた森村医師の声。
いつのまにか彼は私の背後にいて
私と一緒にその用紙を覗き込んでいたようだった。
『・・・・・・・・・・』
「でも、中川のオヤジ、レイナには関係ないじゃん!自分のトコの職員でもないのによ。一体何書いて」
森村医師以外の人達はなぜか静かだった。
奥野先生も坂田院長、そして紙を手渡してくれたナオフミさん。
そして
『・・・・・・・・・・・』
その紙に書かれている内容に一通り目を通し終わった私までもが。
いや、私の場合、静かだったんじゃない
「なんだよコレ!!!!!!!!!!」
森村医師みたいに
反射的にお腹の底から声を張り上げることができないだけだったんだ・・・・
「ちょっと坂田院長!どういうコトですか、コレは!!!!! オレ、せっかくこっちの病院に来るつもりで準備とかしてたのに!!!!!!」
私の耳元にいたはずの森村医師なのに
彼はものすごい勢いで坂田院長のもとに駆け寄っていた。
いつもはどこかトボケた雰囲気を醸し出している森村医師なのに・・・いつになく焦燥感を漂わせながら。
森村医師がそんな変化を見せてしまったのも
無理はない。
だって私に手渡された紙にはこんな内容が記されていたのだから。
<辞令>
高梨 伶菜殿
2017年4月1日付で下記への配属を命ずる
医療相談室
臨床心理チーム
名古屋南桜総合病院
院長 中川 将司