ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来



自分の左手首が掴まれた瞬間
私は思わず声をあげてしまった。



掴まれた左手首が
あまりにもジンジンと温かくて・・・・




「急な話で悪いが、俺と一緒に、来てくれる?」




このまま彼の言う通り、手を引かれ、ここを出て行ってもいいのか・・・・わからなかった。



だって手を掴んでいる「その人」は

私から手を離してしまった「その人」だったから。




でも掴まれた手首を振りほどくことなんかできなかった。




「じゃ、行こう。」



だって

あまりにも
耳に滑り込んできたその声が優しくて・・・・・








・・・・ううん。



そんなのもただの言い訳。






自分の本当の気持ちは




『・・・・は、い・・・・』




ヤッパリ

カレ、ガ

スキ・・・





ただ、

それだけ・・・・






「頑張れ、伶菜ちゃん♪やるからにはしっかりやりなよ、日詠クン!」


「ちょっと、オレは?オレ、ここに置いてくの?」





そして・・・

ナオフミさんと私は

私達の背中を押してくれるような奥野先生の声援と
ひとりだけ状況がいまひとつ理解できていない様子の森村医師の声に背を向け

お互いに白衣姿のまま

・・・走り始めてしまった。



自分の正直な感情に流されたまま
この時のワタシは
彼に手を引かれるがままに走り始めてしまったんだ










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