ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
産婦人科専門医を目指し、シニアレジデントという立場でも多くの業務を担い始め、自信がついてきていた彼
その彼が起こしてしまった分娩介助時のアクシデント
医療ミスの有無について調査が始まって間もなくして
彼は患者家族、そして病院幹部からのプレッシャーに耐えることができずに自ら命を経った
アクシデントが発生した時の俺は、病院内で別の患者の手術に入っていて、そういう状況に陥っている彼を助けてやることができなかった
その時のことを思うと今でも後悔する
自分にできることは本当になかったのか?・・・と
もし、今の美咲が
そういう状況に陥っていたならば
誰も助けてやることができない状態ならば
産婦人科専門医になるという彼女の可能性を潰してしまうだけでは済まずに、
もしかしたら最悪の場合、久保と同じようなことが再び起きてしまうのかもしれない
もしそんな最悪の事態になったら
俺はまた同じことを繰り返すのか?
先輩医師として、後輩に何もしてやれない
そんな自分を繰り返すのか?
でも、プライベートな時間である今、
伶菜と一緒に居ることよりも
仕事を優先することを
彼女はどう思うのか?
ふたりきりだけど、挙式をしたばかりの
日常から離れている時間を過ごしている俺達なのに
こんなにも早く現実に戻ることを彼女はどう思うのか?
そんな問いかけを彼女に投げかけることで
ガッカリされたりしないのか?
ガッカリさせたくない
だけど
後悔するようなことはもう起こしたくない
俺はどっちを選ぶのか?
今の俺は
どっちも選べない
そうやって頭を抱える俺の耳に滑り込んできたのは
『・・・・伶菜・・・?』
ベッドルームのほうで勢いよく布団が捲れ上がったような音。