ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
そんな武器が
これからの彼女を
彼女に助けを求める人間を
そして
彼女をずっと求めてきた俺を
『僕が彼女に守られてきたから。』
救ってくれるんだろう
俺は彼女に守られてきた過去がある
だからそう言い切れる
「はい?日詠先生?今、なんて?」
『・・・自分自身が・・僕が彼女に・・・高梨伶菜にずっと守られてきた。だから・・・彼女が必要・・・ただ・・・それだけ。』
遺伝相談という新しい業務に挑戦するために
俺自身も心の支えが欲しかった
ピンチをチャンスに変える
そんな人間・・伶菜が傍に居てくれる
それが大きな支えになっていることは
間違いのない事実だから
「遺伝相談をより良いものにするために必要とされている日詠先生が、いい仕事をするために、高梨さんが必要・・・そういうことなんですね。」
『・・・情けないけど、そういうことです。』
「楽しみです。高梨さんというライバルがどういう仕事をしてくれるか。」
ニヤリと笑みを浮かべた中谷さんの反応。
頭のいい彼女はちゃんと理解してくれた・・・そう思えた。
『お手柔らかにお願いします。彼女、今、本当にビビっているんで。』
「どうしようっかな~。でも、日詠先生が助けてあげるんですよね?」
『もちろん。』
「じゃあ、高梨さんの・・遺伝相談以外の臨床心理業務では小姑みたいにとことんやります。早く一人前になれるように。」
中谷さんの真摯に仕事に向き合う姿勢は良く知っている。
だから小姑になると言っても、伶菜をよい方向に導いてくれる小姑になってくれるんだろう。
『・・・よろしく。』
俺はこの時、改めて自分が伶菜を導いてきてしまったこの環境でも、きっと大丈夫だという手応えを感じた。
『さて、そろそろこっちに来るように呼ぶかな。』
どうやら無事に終わったらしい ”証人喚問”
伶菜を遺伝相談のメンバーにちゃんと紹介できる体制を整えられたと判断した俺。
彼女を呼び出した福本さんのPHSに連絡し、彼女にこちらへ来るように伝えてもらおうとPHSを手に取ろうとした瞬間。
ガチャ!!!!!
「誰にも譲れません!!!!!!!このチームのメンバーという立場も、、、ナオフミさんのお嫁さんという立場も!!!!!!!!』
ドアを勢いよく開けながら、声高らかにそう宣言した伶菜に
俺は驚きながらも、彼女の頼もしい姿によって激しく心を揺さぶられた。
チームのメンバーという立場・・・"公"の伶菜
ナオフミさんのお嫁さん・・・"私"の伶菜
どちらも
誰にも譲るな
伶菜
覚悟が備わった今のお前なら・・・できるやろ?
この時の俺はきっと大丈夫以上の・・・かなり大丈夫だという手応えを伶菜に対して感じ始めていた。